2017.03.26更新
※銀花(ぎんか)=雪の異称
※こごめ雪=小米の粒のように細かくさらさらと降る雪
真っ白な銀花が絶え間なく降り注ぐ。
どこまでもやわらかな雪明かりの下、ただただ想うはヒナタのこと。
――私にはあなたがいなきゃだめなの。
――何を置いてもあなたのことが大切なんです。
あれから幾月かが経ち、相も変わらず多忙な日々……時間を見つけては会いにきてくれる彼女が、いったい何を思っているのか、ネジには皆目分からなかった。勢いに任せてまた抱きしめてしまったのだが、同じく抱きしめ返してくれた華奢な腕の痛みが、いつまでも消えなくて胸が軋む。自分を想うがゆえに苦しむ大切な人の姿は、見ていてこんなにも辛いものなのだろうか?
父を喪ってからというもの、ずっと独りきりだと思っていたネジは、この感情を受け流す術を見つけられなかった。
いつしか冬は深まって、見渡す限り無彩色な視界の中、たったひとつ鮮麗な色は――
「ネジ兄さん」
白い白い雪に映える深い青。
「怪我はもういいの? 二度と無茶したらだめだよ」
里へ帰るたび、毎度懲りずに傷薬を差し入れてくれるヒナタは、腰まで伸びた長い髪を靡かせて、見違えるほどに綺麗になっていた。長髪のくの一ばかりの中、ひとり小動物のように幼かった彼女はもうどこにもいない。ふわりと微笑む様はもはや妖艶にも見えて、直視することが憚られるほどだった。もっとも変わったのはネジの方で、彼女はずっと以前からこうだったような気もする。
そう、変わったというのは、ヒナタへと自ずと注がれる果てのない感情にようやく名前をつけられた、ということ。……長らく苦しみ続けた理由のない苛立ちや焦りは、認めてしまえば至極単純で、こうもすとんと腑に落ちるものなのかと驚きもした。
従妹であり主人でもある彼女を女として『好き』だと自認してから、すでに一年以上の時間が流れた。そのあいだ、ずっと隣で無邪気に笑っていた彼女が、一度だけ見せたひどい泣き顔に心を撃ち抜かれたまま、今もこうして距離を詰められずにいる。
ヒナタの幸せはオレの幸せだからなどと、思ってもいない綺麗事を並べ立ててももう遅い。
「ヒナタ……外は雪だぞ。着るものが薄すぎる。オレの世話を焼いてくれるのはいいが、まずは自分を省みてくれないか」
いつものようにそう言って、肩に上着を掛けてやると、果然嬉しそうに目を伏せる彼女が心底いとおしかった。
「ねえ、次の任務はいつから? 相変わらず長いの……?」
「長いに決まってる……次に帰るのは春かもな」
「…………」
「さすがにそれは言いすぎたかな。たぶん、ヒナタの誕生日までには帰れると思う」
「覚えててくれたの?」
「もちろん。忘れたことなんて一度もない」
「ふふ、そっか……そのときは私も非番だったらいいな……そしたらここへ来てもいい?」
「ああ。約束はできないけど、もし非番だったら一緒にいられたらいいな」
「うん……!」
こごめ雪の綾なす水玉模様の空合を、縁側でふたり並んで見上げる。ただそれだけの穏やかでやさしい時間は儚く、瞬く間に過ぎ去ってゆくのだった。
*
真冬の木ノ葉とは正反対の暑い国での任務は、思いのほか長引きそうだ。……ヒナタの誕生日までに帰ると言った手前、どうにかしてやりたいのだが、上級の任務ともなるとそう簡単にはいかない。
さいごに会った夜、次に帰るのは春かもしれない、と……馬鹿げた嘘で、試すような真似をした。すると悄然と俯いたので、本当のことを言い直せば、忽ちきらきらと色づくふにゃりとした顔。それはさながら何も知ることのなかった幼い頃のように、否それだけではなく、今ではすっかり雅な艶を湛えたヒナタに、心は引きずられる一方だった。
仲間と野営地にいても、ふと気を緩めればヒナタが浮かぶ。例によって情けない自分を嘲笑うも、自然と溢れ出す感情を無理やりに抑えようとしても、結局無駄なのだ。
熱気に滲む朧月を見上げて……現在の木ノ葉では、雪雲に覆われて見えない月と、きっと残念がっているであろうヒナタのことを想った。また薄着で出かけて、風邪を引いたりしていないだろうか? 任務で失敗してひとりで自己嫌悪に陥っていないだろうか?
ネジの前ではようやく屈託なく笑ってくれるようになったヒナタは、他の同期の前ではまだ遠慮しているように見て取れて、その事実がどうしようもなく優越感を刺激して、そんな自分をまたあざけて笑うのだった。
遠く離れた土地で、来る日も来る日も彼女を想う。任務から帰れば、いつだって満面の笑みで迎えてくれるヒナタに何もかもを侵されて、抜け出せなくなっていた。
*
尚も燦々と照り付ける太陽の下、ある晴れの日の午後。
「ネジ! ボクたちの任期が決まりました……暑いのはしばらくこりごりです」
ぶつくさ言いながらも、待ち時間でさえ鍛錬に汗を流す熱血な班員が言った。その先を視線で促せば、
「今月、十二の月の二十六日までです。あと一週間の我慢ですよ。せっかくなので、天然のサウナの下でトレーニングでもしませんか?」
「いや、オレはいい。暑いのは嫌いだ」
「あんたたちってなんだかんだで仲いいわよね」
捨て置けない答えが返ってきた。ここから木ノ葉までどんなに急いでも一日はかかる。誕生日の前日、ぎりぎりに解放されたはいいが少しの差で間に合わないという最悪のケースも考えられる。ネジは思わずため息をついた。
「終わったら温泉にでも寄ってゆっくり帰りましょ。最近長期の任務ばかりで疲れちゃった」
「おお、いいですね! ボクもテンテンに賛成です!」
「……オレは帰るぞ」
「何よ、いつも付き合い悪いわね! 一緒に来ればいいじゃない! あんただってどうせ暇なんでしょ」
「まあ、暇なんだが……お前らふたりで行ってこい。気が進まん」
「ふっ、ふたりで温泉っていうのもなんか……ねえ? リーだって嫌じゃない?」
「ボクは大丈夫です! 一緒に行きましょうよ」
「うん……」
どこかおかしな様子のテンテンをよそに、まるでデリカシーのないリーとのふたりの関係性を微笑ましく見守りながら、ネジは木ノ葉までの最短のルートを頭に描いていた。
*
常夏の赴任地で過ごす最終日は、案の定、トラブルに見舞われて夜遅くまで拘束される羽目になった。……昔から何事もタイミングよくいった試しがない。今回も例に漏れず運が悪かったというだけのこと。特段腹を立てるでもない。一分でも早く里へ帰る算段をつけるまでだ。
野営地で軽く汗を流したら、寄り道するふたりを見送って、全速力、直線距離で火の国へと向かった。
運が悪いといえば、ヒナタに出逢い、そして『欲しい』と願った時点で、終わりが見えていたような気もする。到底手に入らないものを強く望み、結果苦しむ己の姿が、もはや滑稽にも思えた。
改めて思い返せば、幼い頃からずっと想い続けてきた――父が存命だった頃、あのあたたかで穏やかな日々が、いつまでも続いてゆくものだと思っていた。
宗家、ひいては間接的にヒナタのせいで父を喪ったあの雪の日の夜、清白だった慈愛が真っ黒な憎悪に変わっても、ネジは決して彼女を忘れられなかった。それどころかどこまでも支配され続けて、十年間、散々苦しむことになった。すぐ隣、いつでも手の届く範囲にいた従妹を自らの手で遠ざけ、それでもまた自分の意志で戻ってきてくれるまでに、許されないほどの痛みを与えてしまった。ヒナタの心に存在するネジは、今でも傷だらけで弱々しいままの姿なのかもしれない。だからこそ、また傍で寄り添ってくれているのかもしれない。それが彼女にできる唯一の罪滅ぼしなのだと、尚以て己を責め続けているのかもしれない……。
それでもいい、傍にいられれば――と思えるほど、ネジは大人にも子供にも徹しきれない。いつしか自分にだけ向けてくれるようになった特別きれいな笑顔を、絶対に誰にも渡したくないのだ。
国境が近づけば冬だというのに、休みなく走っているせいであまりにも暑くて上着を脱ぐ。袖なしの黒い下着に白の下履きという姿がだらしない、などと、言ってはいられない。あまり時間がない。何が何でも、日付が変わるまでに辿り着かねばならないのだから。
十二の月二十七日。十一年前の今日、ヒナタに出逢ってからというもの、ネジの見る世界は恐ろしいほどに大きく変わった。それはまるで白黒のフィルムが鮮やかに色を成すかのように。ヒナタを知り、ヒナタに触れて、かつて感じたことのなかった様々な情動に飲まれた。せっかく彩色されたきれいな心緒が、黒く濁ってしまったこともあった。
けれども、ヒナタと居ればまた間違いなく浄化されて、目も綾なまばゆい世界へと訪われてゆく――。
視界を白が遮った。
細い細い絹糸のように、前後左右へ絶え間なく伸びてゆく雪は、今も昔も変わらずに、ネジとヒナタを穏やかに見守る広い空から落ちてくる。
いつかは青白く見えた雪も、漆器の潤ノ白さながらに、黄みを帯びた優しい色をしていた。
*
やがて日は落ちて、濃藍の空から降る銀色の雪に包まれながら、木ノ葉の里へ着く頃には、時刻はすでに夜半すぎになっていた。あと一時間……ヒナタの気配を探るも、宗家には居ないようで、わずかな差で入れ違いになったかと唇を噛んだ。が、いったん自宅へ戻ろうと、重い足を上げれば、
「ヒナタ……?」
道中、ネジの屋敷のすぐ近くで立ち尽くしている人影が見えた。間違えるはずのないあたたかいチャクラ、確かめるまでもない慣れ親しんだ甘い香り。もう一度名前を呼ぶ。
「ヒナタ」
「ネジ兄さん……? ネジ兄さん……! 寒かったでしょう? 何でそんなに薄着なの?」
よかった、間に合った――。
すぐさま駆け寄って上着をかけてくれたヒナタは、鼻先を真っ赤にしながら……ネジの大好きな、柔らかな笑みで迎えてくれた。もじもじと落ち着かない彼女を連れて、そのまま邸の中へ入る。上着を返そうにも頑なに応じないヒナタが風邪を引いてはいけないからと、己を無理やりに正当化して。久しぶりに帰る家は、玄関からして沁みるほどに冷えていた。
……引き戸を閉めたにも拘らず、からりと聞き慣れない小さな音がする。何事かと問えば、
「さいごのひとつになっちゃった。どんぐり飴……兄さんに会えなくて寂しいとき、特別に食べてたの。白いほうのミルク味、甘くてやさしくておいしいんだよ。でももうなくなっちゃう」
「……そんなに喜んでくれたなら、またいくらでも買ってくるよ」
胸を貫く言承けに、瞬時に息が苦しくなった。
ネジには明らかに小さなヒナタの上着を脱ぎ、そっと肩へと掛けた。
玄関という狭くて薄暗い空間で俯く彼女の顔はよく見えなかったが、少し震えているようだった。
「きょっ今日はお父様にお遣いを頼まれて……。というのは嘘で、ずっと会いたかったから待ってたの。ほ、ほら兄さん、私の誕生日までには帰るって、お互い非番だったら一緒にいられたらいいねって、約束してたから……もう忘れちゃった?」
涙声で紡がれた言葉に、卒倒しそうなほどの眩暈を覚えた。
すぐにでも抱き寄せたい衝動をどうにか抑えて平静を装う。
「オレがヒナタとの約束を忘れるわけないだろ……これでも急いで帰ってきたけど、待たせて悪かった。ヒナタ……誕生日おめでとう。オレの傍に生まれてきてくれてありがとう。オレはヒナタを護るためだけに生まれて、そしてこれからも生きていく。それだけは揺るがない事実だ。迷惑かもしれないけど……でも、オレがそうしたいからそうすることにした」
四六時中ずっとヒナタのことを考えていたせいで、かなり余計なことを口走ってしまった。
次第に目が慣れてきて、うっすらと視界に映し出されたヒナタは泣き笑いをして、
「よかった……覚えていてくれて。ありがとう……すごく嬉しいです。でもね、これからは、私が兄さんを守るって決めたの。秋、滝の国で大怪我を負った兄さんを迎えに行って、初めて気づいたことがある。私は兄さんに傍にいてほしい。何があっても絶対に離れないでいてほしい……たぶん私は兄さんのことが好きだから……それこそ迷惑かもしれないけど、私が好きだから好きでいる。何もしてくれなくていいから、生きて、傍で笑っていてくれたら、他には、何も望まない」
にわかには信じられないことを口にした――。
……思考が停止してしばしの沈黙ののち、ヒナタの表情が曇り、ついには俯いて泣き出してしまった。しかし、驚きのあまり立ち尽くして何も言えずにいたら、息を整えたヒナタがもう一度口を開いた。
「ごめんなさい……。こんなこと、伝えるつもりはなかったのに……久しぶりに会えて、しかも誕生日にあんな風に言ってくれたのが嬉しくて……つい……困らせてごめんなさい……」
ようやく正気に戻って、ネジは、今にも崩れそうなヒナタを思い切り抱きしめた。仔猫のようにびくんと震えて動かなくなったヒナタを、力の限りぎゅっとぎゅっと抱きしめた。
「『好き』の、意味を分かって言っているのか? それこそ、オレはヒナタが死ぬくらいなら自分が死ぬと云うくらい切実に、ヒナタを想っている。従妹としてでも、仲間としてでもなく、女としてのヒナタを愛している。その意味が分かるか?」
……それからお世辞にもスマートとは言えない告白をした。たとえ恰好悪くても、これが自分なのだから仕方ない。こんなにも想っているのに上手く伝えられない自分を情けなく感じながらも、ヒナタからの思いもよらない言葉を承けて、死んでもいいとすら思う自分がまた可笑しかった。
恐る恐る、ゆっくりと抱きしめ返してくれたヒナタが、
「分かるよ。私もおんなじだから。従兄としてでも、仲間としてでもなく、男の人としてのネジ兄さんが好きで、誰にも渡したくないって思ってる。だから、嬉しい……本当に大好き」
あまりにも心を揺するので、どうしようもなくなって、そのまま玄関の壁に押し付けると、小さな顎を掴んで、かすかに戸惑いを見せた唇に、緩やかに唇を重ねた。一瞬で離したのだが、至近距離で目が合った瞬間、見たことのない表情で見上げてきたヒナタに瞬時に血が騒ぎ出し、もう一度、どこまでも深く――涙と甘い飴玉の味がする咥内を、深く深く犯したのだった――。
「……んん……」
苦しげな声に我に返る。けれどどうしても足りなくて、再び塞ごうとしたら、腕の中のヒナタが脱力したので慌てて抱き止めた。
「気絶、させてしまったのか……?」
憧れの同期の前で何度も気を失っていた彼女を見、劣等感に支配されてきた過去を思うと、ようやく自分の手に堕ちたという征服感にも似た不穏な感情が、手に負えないほど烈しく蠢く。と同時に、翻って、幼い頃から持ち続けてきた真っ白な慈愛も、瞬く間に膨れ上がっていった。
*
「あれ……? わっ、私……」
初めて上げた寝室にて、ヒナタが目を覚ました頃には、時刻は鶏鳴を回っていた。二十七日中にどうにか『おめでとう』を伝えたものの、余計なことをしたせいで、日付が変わって二時間も経ってしまった。頭の中が疑問符でいっぱいといった様子のヒナタは、急に口に手を当てて、顔を真っ赤にして俯いてしまい……その仕草があまりにもかわいかったので、すぐ傍に寄って頭を撫でた。いっそう濃い色に染まって恥ずかしがる彼女を、今すぐにでも組み敷きたい衝動を、ぐっと抑え込んで笑顔を貼り付けた。
淡い橙色の電灯が、白い寝具を穏やかな暖色に点して、揃いの薄紫色の瞳も、同じく柔らかに赫いていた。
「大丈夫か? いきなり悪かった……。オレはずっとずっとヒナタが欲しくて、想い焦がれていたから、あんな風に言ってくれて嬉しくて、つい箍が外れてしまって……。もうしないとは言い切れないのが心苦しいが、でも本当に嬉しかったよ」
「ううん大丈夫……。恥ずかしい……。私こそごめんなさい。う、嬉しかったのに、何かわーってなっちゃって。気づいたらこんなことに……。またしてくれてもいいっていうか、またしてほしいな」
「よかった……でも、そんなことを言ってどうなるか知らないぞ」
「……うん……次は気絶しないように、ゆっくりしてほしい」
「ゆっくり?」
「うん」
先ほどはつい急いてしまった己を恥じつつも、一度堰を切った想いが溢れて止まらず、念のために今一度確認する。
「それって今か?」
「……うん……」
半分、言わせたようなものではあったが……。
布団から体を起こしたヒナタの肩をそっと抱き寄せて――確かめるように何度も、啄むように何度も口づけた。重なり合う色違いの髪が、さらさらと、心地よい音を立てていた。
唇を離して見下ろせば、目にいっぱいの涙をためて微笑むヒナタが居て、いとおしさのあまりきつくきつく抱きしめた。
「どうしよう今日は帰したくない……」
「……私も離れたくない。朝までここにいてもいいかな? そのまま、ぎゅってしていてほしいな」
思わずこぼれた本音を承け、同じ気持ちでいてくれた事実に心底の安心を覚えた。
結局、落ち着かなくて朝まで眠れなかったのだが、すやすやという擬音が聴こえてきそうな寝顔を見ていたら、十分疲れが取れて幸せだった。
罪滅ぼしなどではなく、ただひとりの男として自分を想ってくれていたことが夢のようでまだ信じられないが――。
この先何があっても絶対に彼女を護り抜くのだと、強く心に誓った。
*
障子の向こうのこごめ雪が、灰色の影になってちらちらと宙を舞う。思えば、ヒナタとの記憶は、季節をまたいでたくさんの色と共に在った。しかし、最も濃く占めているのは雪の白だったような気がする。
初めて出逢い、心を攫われた日の雪の白。
……父を喪い、心も失くした日の雪の白。
それから、気の遠くなるような時間を越えて、初めて口づけを交わした日の、雪の白。
いつか純白のヒナタを堂々と迎えられるよう、彼女の相手として誰もが認めるような立派な忍になりたい。
――生きて、傍で笑っていてくれたら、他には、何も……
ネジと同じように想っていてくれたヒナタの願いを、何が何でも無下にはしない。
一緒に生きて、この先の季節も、雪の白だけでなく、色とりどりの記憶を刻んでゆきたい。
数えきれないくらいたくさんの色をかさねて、最期まで一緒に笑っていられたら――共に居る未来を、希望を……どんなことがあっても棄てることなく遂げられたらと、改めて決意を固くした。